西尾維新の原点回帰 『悲鳴伝』 感想

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悲鳴伝 西尾維新 講談社

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ある日、家の近くのTSUTAYAに行ったら、新刊コーナーにこの本があった。

僕はちょっとした西尾維新ファンだ。

あくまでも『ちょっとした』だ。

ドヤ顔で「僕は西尾維新のファンです」といえるほど、僕は氏の著作を読んでない。

だから氏の新刊情報などもチェックしていなかった。

だから、TSUTAYAでこの本を目にしたときは面食らった。

「分厚いな!」

それが僕の第一印象だった。

買ってみようかな、とも思ったのだが僕はその頃、丁度いろいろと立て込んでいる時期で、

腰をすえて読書する時間がなかったのだ。

それからいくらか時間が経過。図書館で偶然この本を見かけたので、借りて読んでみた。

(なお、読み終えた後、改めて同書が欲しくなったので、本屋で買いなおしたことを付言しておく)

舞台は2012年の日本。『大いなる悲鳴』という謎の災害により、全人類の3分の1が死滅した世界。

大いなる悲鳴は、地球が人類を滅ぼすために起こしたもの。

主人公・空々空(そらから くう)は対地球組織『地球撲滅軍』に入り、地球を倒すため日々戦うヒーローになる。

本作は、西尾維新の原点回帰といえる作品だ。

僕が最初に西尾維新の作品を読んだのは、デビュー作の『クビキリサイクル』だった。

その次に読んだのが『化物語』

ご存知かもしれないがこの2作品、主人公の方向性が違う。

クビキリの主人公のいーちゃんは、はっきり言って狂人である。

とにかく人格が壊れている。

『クビツリハイスクール』でバラバラ死体と同じ部屋で一晩過ごしたときは、さすがの僕も引いた。

対する化物語の主人公の阿良々木暦(あららぎ こよみ)は正統派だ。

何というかジャンプ的主人公である。ヒロインのピンチに颯爽と駆けつけるというイメージだろうか。

僕は物語シリーズは結構読んでいるので、そういった西尾氏の正統派主人公に慣れ切っていた。

だから本作、悲鳴伝で驚かされたのである。

「あの西尾維新が返ってきた!」

この悲鳴伝、とにかく登場人物たちが狂っている。

主人公の空々には心がない。大いなる悲鳴で人類の3分の1が死んでも、目の前で家族が惨殺されても、何とも思わない人格破綻者である。

ヒロインの剣藤犬个(けんどう けんか)も空々の家族を惨殺したあとで、にこやかに空々ににこやかに挨拶するぶっ飛び様。

しかし、一番狂っているのは空々たちが所属する『地球撲滅軍』だろう。

地球を倒す、という名目があれば、大量殺人、放火、人体実験、拷問なんでもアリ。

空々も地球撲滅軍に入るに当たり家族、親類、友人関係すべての人間を殺されている。

一体どっちが正義の組織なのか分かったものじゃあない。

僕は地球撲滅軍を見て、デビルマンに出てきた悪魔特捜隊を思い出した。

たしか悪魔特捜隊もデーモンを殺すために、無関係の人間を虐殺していた。

というわけで、本作は久しぶりの西尾系・人格崩壊主人公の復活を相成ったのである。

しかし思うのだが、物語シリーズの阿良々木暦、戯言シリーズのいーちゃん、

どちらを生み出した西尾維新が、本当の西尾維新なのだろうか?

いや、どちらも本当の西尾氏なのだろう。

ただ、西尾維新という一人の中に、暦といーちゃんがいるだけなのだ。

それを西尾氏は好きな時に、必要なだけ取り出しているだけだ。

しかし、そのためには相当に自らを客観視できていなければならないだろう。

小説とは、どれだけ正気を残したまま狂気に走れるかを争う競技でもあるからである。

(西尾作品のように言葉遊びをしてみた(笑))

それだけのことを、こうもことなげにやってのける西尾維新。

おそるべき作家である。

ps

悲鳴伝のページ数は515ページ。

西尾氏はこれをわずか15日間で書き上げたらしい。

一日当たり約35ページ。

ちなみに僕の最高記録は、1日6ページである。

西尾氏おそるべし……。

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